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意識を集中し、怜音の顔を思い浮かべる。
頭の中でイメージした怜音に呼びかけた。
『怜音、怜音。応答せよ』
すると、おれの呼びかけに応える声が、頭に直接ひびいた。
テレパシーがつながる。
『こちら怜音。志音、お前のクラス、うるせーよ』
『ごめんごめん。合同体育の時間にドッチボールが中止になったからさー、みんな大ブーイング』
『志音のクラスは、いつもさわがしいよな』
『元気いっぱいって言ってくれ。ってかさ、合同体育は怜音のクラスと一緒なんだから、そっちはブーイングが起こらなかったのかよ?』
『お前のクラスほどじゃねーよ』
『あったんじゃん。だからさ、アレやろーよ!』
『アレ?』
『アレだよ、アレ!』
『あー、アレか! 今日のために用意したようなもんだしな。やろうぜ』
『おれ、先生に言うよ!』
『こっちも言っとくな』
双子って、以心伝心だよなー。
考えてることはすぐに伝わるんだから。
すぐに集中を切って、さわがしいままの教室にむかって手を上げた。
「はい、はいはいはいはい、はーいっ!」
「ど、どうしたの。神木さん」
みんなが急に静かになって、おれに注目した。
「広瀬先生! 五時間目はおれたち双子にまかせてよ!」
「えっ、神木さんたちに!?」
広瀬先生は目をまん丸くした。
「先生、悪いようにはしないから! ぜったい面白くなると思う!」
おれはニカっと笑って、自信満々に答えた。
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