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「どうぞー。一人一つずつとってくださーい」
五時間目の合同体育が、運動場で始まった。
体操服を着た、一組と二組のクラスのみんなが、おれと怜音の前に並んでいる。
おれはみんなに声をかけながら、スポーツゴーグルを配っていた。
一見、普通のスポーツゴーグルなんだけど、ちょちょいといじっているんだ。
おれのとなりにいる怜音は、タブレットを操作して、準備を整えていた。
「神木さんたち、一体これから何をするの?」
広瀬先生が不思議そうに、怜音のタブレットをのぞきこんだ。
「広瀬先生、これからするのは、パソコンクラブで作ったVRドッチボールです」
「え、パソコンクラブで!? VRを開発!?」
冷静に話す怜音とは対照的に、広瀬先生はびっくりして、おおげさなジャスチャーをした。
「い、いつの間にそんなの作ってたの? 先生、パソコンクラブの担当なのに、そんなの知らなかった」
「先生、基本パソコンに興味ないもんね」
「だって、パソコンなんてよくわかってないのに、若手ってだけで決められちゃったんだから」
「小学生にグチんなよ、先生」
おれのツッコミに、神木さんだからグチれるの、と言ってきた。
まあ、それもそのはずで。
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