2 双子は小学4年生

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 おれもゴーグルを着けて、スイッチを押した。  すると、ブワーン、と目の前に映像が広がる。  プロスポーツ選手が活躍しそうな、近未来的なスタジアムの中に、ドッチのコートが生まれた。  自分で言うのもなんだけど……、  やっぱカッコイイ! もえるぜ! 「広瀬先生、怜音が持ってるタブレットのスタートボタンをタップして!」 「え、タブレット?」 「先生、これです」  怜音からぱっと渡され、先生は慌てて受け取った。 「えっと……あ、コレねっ」 「それでゲームが始まるから」 「わかったわ。まかせて!」 「怜音、行こう!」  怜音をひっぱって、コートに向かった。 「それでは、一組対二組のVRドッチボール対決を行います!」  広瀬先生の声と同時に、ピコンと音が鳴る。  それと同時に『START』の文字が現れ、軽快にファンファーレが鳴った。 「わわわ、ボールが現れた! か、感触があるぞ」  声を上げたのは、同じクラスの手島寛太(てしまかんた)。  がっちり体型の手島は、おれと一、二を争うくらい、ドッチボールが得意なヤツだ。  ランダム設定にしている開始時のボールは、どうやら手島に渡ったようだ。 「手島! そのボール投げろ!」 「な、投げれんのか!?」  おれが声をかけると、手島はびっくりしながらも、思いっきり腕を振った。  ビュン、とスピードの乗ったボールが、一組のコートに一直線。  ボールを受けそこねた一組の男子にヒットした。  すると、『HIT!』の文字が現れ、勝利のファンファーレが鳴った。 「すっげ! めちゃくちゃ面白いじゃんか!」  手島はフンフンと鼻息を荒げ、叫んだ。  そうだろう、そうだろう!  おれたち双子の自信作だからな!
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