2 双子は小学4年生

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 今度は一組から放たれたボールが、うちのクラスメイトに当たる。  すると、今度は『OUT!』の文字が現れる。  音楽と映像が、場の雰囲気を最高に盛り上げる。 「いっけーっ」 「やった!」 「くそぉ!」  みんなが声を出し、のめりこむようにドッチボールに集中した。  みんなが慣れてくると、ボールのラリーが続いた。  その時、 「あっ」  青い顔をした体の小さな高野に、ビュン、と勢いよくボールが飛んだ。  あっ、アイツ、ドッチボールが苦手なんだった。  おれはすぐに高野の前に躍り出た。  球威のあるボールが、おれに牙をむく。  おれはニヤリとした。  ドンッ、と鈍い音がした。  でも、大丈夫。  体全体で包み込むように受けたボールは、すっぽりとおれにキャッチされていた。 「か、神木くん!」 「高野、大丈夫か!?」  振り向けば、高野がほっとした表情をしていた。 「う、うん。ありがとう! さすが運動神経バツグンの神木くんだね」 「いやー、まーそれほどでも~」 「高野! 男ならボールくらい、しっかり受け止めろよ!」  少し離れたところにいた手島が、ドッチが苦手な高野を責めた。 「ご、ごめ……」 「手島っ、仲間責めてる場合かよ。一組撃破だぞ!」 「神木に言われなくたって!」  おれは手島に負けないくらい声を張り、意識を一組に集中させる。 「志音! オレら、そうカンタンにやられねーけど」  一組のコートにいる怜音が、口角を上げて煽ってくる。  おれたち二組は負けないぞ! 「みんな、司令塔の怜音をまず狙え!」
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