2 双子は小学4年生

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 キーンコーンカーンコーン。  五時間目の合同体育は、大盛り上がりで終了した。  「神木くんたち、ありがとう!」  おれと怜音が片づけをしていると、広瀬先生がニコニコしながら近づいてきた。 「どういたしまして、先生」 「授業がどうなるかと思ったけど、めちゃくちゃ助かっちゃった」 「じゃあ先生、がんばったおれのために、六時間目は自習にしてよー」 「調子に乗らないの。六時間目は算数のテストを返却して、その答え合わせをするわよ」 「げげ!」 「じゃ、片づけお願いねー」  手のひらをひらひらさせて、先生は校舎に歩いていった。  やべー、算数のテスト返却されるのかよー。 「志音、家に帰ったらテスト見せろよ」 「ええー……」  おれは引きつった笑いを浮かべ、固まってしまった。  勉強ができる怜音には、いつもチェックされている。  おれ、算数苦手なんだよなー。 「神木くんたち」  声をかけられ、片づけの手を止めた。  ふっと後ろを振り向くと、愛菜が立っていた。 「二人ですごい装置を作ったんだね。みんな、楽しそうだったね」 「おう。VRドッチボールを作ってよかったよ」  ニコニコ笑って愛菜が言うから、おれもニカっと笑顔で返した。 「VRドッチボールなんて、いつ作ってたの?」 「最近だけど。こんなのあったら面白いかなーって」 「ふーん。なんか用意周到ね」 「用意周到?」 「まるでドッチボールが盗まれることが事前に分かってて、このゲームが作られたみたい」  おれは思わず息をのんだ。  まるでも何も、そういうことだ。  ズバリの指摘に冷や汗が流れる。
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