2 双子は小学4年生

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「……どういうことだよ」  おれは何とか声を絞り出す。 「知ってる? うちの学校に現れた怪盗ノットって、二人組なのよ。背が低くて子供みたいな二人組。そうね、ちょうどあなたたちに似てるわ」  愛菜は鋭い視線でじっと見てきた。  まさか、コイツ、おれたちの正体に気づいてんのか……!?  バレたらマズいじゃん!  ど、どうすれば……。  おれの頭の中は、パニックになった。 「あははっ、まさか!」  おれはびくんと肩をふるわせ、急に笑いだした怜音を見た。 「怪盗ノットがオレらだって? 盗みに入るなんて、小学生のオレらができるわけねーじゃん」  怜音は飄々とした態度で言い放った。 「でも」 「さすがにちょっとリアルじゃなくね?」 「そ、そうだよなー! リアルじゃないよな! あの怪盗ノットってヤツ、頭よさそうだしなー」 「そうそう。志音のテストの点数見たら、納得の答えだと思うけど」 「なにをー!?」  怜音にくってかかると、怜音がぺしぺしとおでこをたたいてきた。  ちょっと頭がいいからっていい気になるなよ、怜音っ。 「双子でじゃれてないで、さっさと片づけして教室に戻ったら?」  悔しそうに眉をしかめた愛菜は、おれたちに背をむけると、校舎にむかって走って行った。  おれと怜音は互いに目を合わせると、ほっと息をついた。 「あぶねー。少女探偵、あなどれない!」 「ただのカマかけだろ? 全く問題ねーよ。ほら、そろそろ戻るぞ」  ドキドキしている胸をおさえつつ、怜音と一緒に片づけを終えた。  六時間目のために、校舎へ急いで戻った。
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