2 双子は小学4年生

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 ぐぬぬぬ。  これは、ヤバイ。  受け取ったテストの解答用紙を持つ手が、ぷるぷるとふるえていた。  六時間目は広瀬先生が言った通り、教室で算数のテストが返却された。 「神木さん。もうちょっとがんばりましょう」  教卓にいた広瀬先生が、おれに声をかける。  おれは呆然としながら、自分の席へ歩いた。  おれのテスト用紙に赤ペンで書かれているのは、百点満点中、三十五点。  何回見ても、三十五点。  マジか。  これは怜音に叱られる案件だぞ。  どうしよう、どうやって言いわけしようか。  ゼロを増やして、三百五十点とか言ってみる?  ……いや、アイツ完全にバカにするだろ。  おれが頭を悩ませていると、先に返却されていた手島が、高野のいる席でさわいでいた。 「高野ー、お前、五十五点ってヤバイな。オレは八十点だぜ」 「さ、算数は苦手なんだ……」 「え、さっきの体育もひどかったけど、お前、勉強もできないのかよ!」  手島とその取り巻きのヤツらが、げらげらと笑いだした。  とたんに高野が真っ赤になって、下を向いた。  アイツら、また高野のことをからかいやがって! 「手島、言いすぎだぞ。高野がかわいそうだろっ」
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