3 キッズエージェントはラクじゃない

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 そんな救世主の五朗のおじさんは、ぼさぼさ頭でお腹をぽりぽりしながら、スウェット姿でこの部屋に入ってきた。  うわぁ、イケメンが台無しだなー。 「おじさん、寝てたの?」 「いや、部屋で表の仕事をバリバリしてたよ。表と裏の二つの顔を持つ男は大変だよね~。超一流の俺だからできちゃうんだけど」  ドヤ顔で言う五朗のおじさんに、おれたち双子は残りの宿題をバリバリとこなしはじめた。 「え、無視? ツッコミ待ちなんだけど!」 「表の仕事はAIエンジニアの仕事だよな。オレ、すげー興味あるな」 「怜音、まじめな返ししないで! おじさん、かなしい!」  よよよ、とウソ泣きをし始める。  三十代なのに小学生とテンションが同じで、ノリがいい五朗のおじさん。  だけど、おじさんの言う通り、自他ともに認める超一流の仕事人なのだ。 「おじさん、おれたちに何か用があったんじゃないの?」  もっと脱線しそうな気がしたので、話を向けてみる。 「そうだ。仕事が落ち着いたから、双子のエージェントの仕事をしようと思って、声をかけたんだった」 「昨日の夜のヤツ?」 「そう」 「回収はしたけど、アレの破壊はしていないからね。宿題が終わったら声かけて。俺は夕食の下準備をしておくから」 「はーい」  手をひらひらさせて、キッチンの方へ歩いて行った。
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