3 キッズエージェントはラクじゃない

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 五朗のおじさんからぽいっと投げられたものは、手のひらより少し大きめの黒いカプセル。  おれはキャッチして、カプセルにあるスイッチを押した。  ボン、と音が鳴る。  もあもあした煙の中から、ドッチボールが次々と飛び出した。  このカプセルは七つ道具の一つだ。  カプセルバッグと言って、モノの持ち運びがラクチンになる道具なんだ。  キッズエージェントとしてデビューするとき、この七つ道具は五朗のおじさんから渡された。  ミッションのために渡されたものだけど、これは母さんが開発したものなんだ。 「うわー……いっぱいある」  ルーフバルコニーに転がった、数十個ほどあるドッチボールにげんなりする。 「それだけ子どもたちを『ロボット』にしたいってことでしょ?」  五朗のおじさんは小首をかしげて、当たり前のように言った。 「見てごらん。このドッチボールに、小さな『ロボチップ』がつけられてる」 「ホントだ」  五朗のおじさんが指さした部分をじっと見た。  そこには一センチよりも小さな、筒のような形をしているものがあった。  それは、『ロボチップ』と呼ばれるマイクロチップだ。  これこそがキッズエージェントの仮の姿である、怪盗ノットが盗む目的のものだ。
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