3 キッズエージェントはラクじゃない

7/9
前へ
/89ページ
次へ
「さてと、そろそろエージェントの仕事を進めようか。今日はこのドッチボールのロボチップを破壊しよう」 「はーい」  げげげな数だけど、これも立派なキッズエージェントの仕事だ。 「じゃあ、クラッシュペンを使うよ」  五朗のおじさんがクラッシュペンを取り出し、おれたちはそれを手に取った。  クラッシュペンは七つ道具の一つで、ロボチップを破壊できるツールなんだ。 「さあ、やるか!」  おれは転がっているドッチボールの一つを手に持った。 「どこにあるかな、ロボチップ……」  小さいからよく見ないと、見落としてしまう。  しっかり見なきゃ。 「お、あった、あった」  手にしたクラッシュペンのスイッチを入れると、赤い光が細く出た。  見つけたロボチップに、赤い光をあてた。  瞬間、シューっと音を立ててボロボロに崩れた。  ロボチップはいつもこうやって破壊しているんだ。  今回は数が多くて、メンドクセーって思うけど、それをいくつもこなしていく。 「手慣れたもんだね、二人とも。頼もしいね。きっと紗弥加(さやか)も心強く思ってるよ」  おれの手元をのぞきこみながら、五朗のおじさんがぽつりと言った。  紗弥加っていうのは、おれたち双子の母さん、神木紗弥加(かみきさやか)のことだ。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加