3 キッズエージェントはラクじゃない

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「……母さん、かわいそう」  おれがぽつりとつぶやいた。  すると、ぶほっ、と五朗のおじさんが吹き出し、げらげら笑い出した。 「いろんな意味で天才な紗弥加は、かわいそうって言われるキャラじゃないよ。いやー、君たちホントにいい子だね~」  五朗のおじさんはおれたちの頭をわしゃわしゃと撫でた。 「やめろっ、髪がぐちゃぐちゃになるだろ!」 「小さい子どもじゃねーし!」  おれたちが口々に文句を言っても、五朗のおじさんはやめなかった。 「大丈夫、きっとまた一緒に住めるよ。さ、続き続き! それが終わったら、ドッチボールを学校に返却するからね」 「うわぁ、メンドクセー!!」  怜音と顔を見合わせ、げんなりした。  怪盗ノットの目的は『ロボチップ』であって、今回盗んだドッチボールじゃない。  だから、怪盗ノットはそっと盗んだものを返すんだ。 『盗む』→『破壊する』→『返す』  めんどくさいけど、これが怪盗ノットの流儀ってヤツ。
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