4 双子、ケンカする

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「もーいいよ、おじさん! 恥ずかしいから仕事してて!」 「はいはい。もー、恥ずかしがっちゃってー」  五朗のおじさんの背中をぐいぐい押して、おじさんの自室へつっこむ。  ぱたんと勢いよく扉を閉じてやる。  でも、 「あとで、おやつに作っておいたアップルパイを出してあげるねー」  と声をかけてきた。  うれしいけども!  五朗のおじさんはこういったイベントごとを、全力で楽しむタイプだ。  でも、五朗のおじさんは関係ないからね! 「楽しいおじさんだね。いいなー」 「えー……おじさんの相手、けっこう大変だよ」  話しながら、リビングダイニングルームへ高野をつれて行った。  そこには、先に宿題を始めていた怜音いる。  怜音がこっちに気づいて手を上げた。 「おかえり、志音。いらっしゃい、高野」 「こ、こんにちは。今日はよろしくお願いしますっ」  びくびくしながら高野が言った。  怜音がきょとんとする。 「なんで敬語?」 「え……あの、なんとなく……。今日は『先生』だし……」 「怜音が先生! ウケる! そんなに固くならなくていいよ、高野。怜音だしな!」 「志音……お前、教えてもらう側だろーが。ま、でも先生ってガラじゃねーし。気にしなくていいぞ」 「で、でも、神木くん……」
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