4 双子、ケンカする

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「「うん?」」  と、怜音と二人で思わず返事をする。 「あ! そうか二人とも神木くんだね」 「おっと、そうだな」 「こういう時はややこしいな」 「おれは志音で、怜音は怜音で。おれたちも高野のことは、夢人って呼ぶよ」 「それでいいんじゃね?」  にしし、とおれたち双子が笑った。  すると、やっと高野……じゃなくて、夢人が肩の力を抜いた。 「わかった。志音くん、怜音くん、よろしくね」 「おう」 「んじゃあ、さっさと始めよう。お前ら宿題の算数ドリルだせよ」  怜音の掛け声で、おれと夢人はダイニングテーブルの席に着いた。  怜音は真向かいに座っていて、まさに先生ポジションだ。  おれはテーブルに置いてあった算数ドリルを開いた。  算数って苦手なんだよなー……。 「二組は今、どこやってんだよ?」 「ここだよな、夢人」 「う、うん」  今やっているところを見せると、怜音が目をぱちくりとさせた。 「え、お前らまだここやってんの? うちのクラスなんて十ページも先に行ってるぞ」 「ええー! おれらのクラスって、そんなに遅れてんの!?」 「うちのクラスはたぶん早い方だけど、志音のクラスはあきらかに遅いよな」  マジか。  大丈夫か、うちのクラス……?  広瀬先生の顔を思い出し、大丈夫、大丈夫とウザく笑うイメージが浮かぶ。 うーん、大丈夫じゃないかもな……。
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