4 双子、ケンカする

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「で、どこがわかんないんだよ?」  怜音が算数ドリルをのぞきこんだ。  夢人がわからない場所を指さしていく。 「えっと……ここと、ここ……」 「おれはプラス、ここと、ここも!」 「おい、志音の方が多いな」  えへへ、とてへぺろしてたら、怜音にデコピンされた。  いてーなっ。 「夢人、こいつホントに大丈夫? ちゃんと教室で勉強してんの?」 「えっと……」 「やってる、やってる!」 「どうせ興味のねー授業は、集中してねーだろ」  おれの主張は、すぐに却下された。 「双子ってそんなことまでわかるの?」 「いや、コイツの場合は単純だから、双子は関係ねーよ」 「単純じゃないし!」 「じゃあ、単細胞」 「なんだって!?」  いっつも一言多いんだよ、怜音は。  おれがさらにかみつこうとするけど、怜音にまたデコピンされた。  だから痛いって! 「時間もねーし、とっととやっていくぞ」  会話をぶったぎった怜音は、おれと夢人に算数ドリルを使って教え始めた。 「ここに数字を入れて……ここは繰り上げて……」  ほうほう、なるほど……そうなんだ。  こんなコツがあるなんて知らなかったな……。  おれはいつもわからない問題があると、うんうんとうなって、時間がかかってしまう。  これでも一生懸命やってんだよ。  でも、結局わからないから、何にも書かずに宿題を出しちゃったりする。  怜音はなんでこんなコツを知ってんだよ。  なんか……不公平だ。
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