4 双子、ケンカする

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「ただいま」 「おかえり、志音。遅かったね」  家に帰りたくなくて、ゆっくり時間をかけて帰ってきた。  どうせ誰もおれにかまうわけない。  そう思っていたんだけど、玄関を開けたら、五朗のおじさんがいた。 「……なんか用?」 「ちょっとおいで。話があるんだ」  むすっとしているおれの表情に、五朗のおじさんは困ったような笑みを浮かべた。  リビングダイニングルームへ歩き出した。  おれは黙ってついていく。 「やっと帰ってきたのかよ、志音」  おれの姿を見たとたん、怜音がずいっとよってきた。 「お前、コレ見ろ」  いきなりおれの顔面に、何かを突き出してきた。 「ぷはっ。あぶないな、なんだよ!?」  それをひったくって見たら、おれの算数ドリルだった。 「おれのドリルがなんだよ?」 「志音、お前、気づかなかったのかよ?」 「何が?」 「やっぱり気づいてないんだな。それ、ロボチップがつけられてるぞ」 「え!?」  まさか!?  そんなハズは……。  ドリルをくまなく見ながら、あわててページをめくる。  どこにあるんだ!?  ロボチップは小さい。  よくよく見ないと分からない。  隅から隅までロボチップを探していると……あった!  一番後ろのページにくっついていた。 「う、うそだろ……なんで……」
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