4 双子、ケンカする

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「俺たちもさっき気がついたんだけどね。志音、これを使い続けていたら『ロボット』になって、手遅れになっていたかもしれないよ」  五朗のおじさんの言葉に、背中がゾッとした。 「ご、ごめんなさい。でも、なんでおれのドリルに……怜音のドリルには?」 「オレのドリルにはない」 「EDENの目的はわからないけれど、どうやらロボチップがあるのは、四年二組のドリルだけのようだね」 「おれのクラスだけ……」 「志音のクラスなんだから、お前が早く気づくべきだっただろ。お前、クラスのみんなを危険にさらし続けていたんだぞ」  怜音のきつい指摘に、思わずくちびるをかんだ。  キッズエージェントとして、やっちゃいけないミスだ。  夢人たちクラスのみんなが影響を受けて、少しずつ『ロボット』に近づいている。  おれのせいだ。  どうしよう、なんとかしなきゃ。 「志音、怜音。お前たちにミッションだ。四年二組の算数ドリルを全て回収すること。いいね?」 「了解」  おじさん、もとい、CREOの監督官・神木五朗から指令がでた。  ミッション遂行は絶対だ。 「志音、このドリルが全部集まるタイミングはある?」 「えっと……いつも、金曜日にドリルを提出するんだ。先生がドリルをチェックするから」 「そう。じゃあ、ミッションの遂行は金曜日の夜だね。場所はわかる?」 「たぶん職員室だと思うけど……。あ、でも広瀬先生のことだから教室かも……」 「どっちなんだよ」 「そんなのわかんないよ」 「それくらいいつも観察しとけよ。ポンコツかよ」  怜音の言い方にカチンときたけど、言い返せない。  今回はあきらかにおれが悪い。  とにかく早くロボチップを破壊しないと。  おれはぐっと拳を握りしめた。
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