5 ミッション開始

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5 ミッション開始

『予告状:国語にあって道徳にない、開けるにあって閉まるにないものってなーんだ?』 「毎回、毎回、予告状なんていい度胸してるわね」  職員室から出てきた愛菜が、おれたちが送った予告状のカードを見て、カリカリしていた。  金曜日、夜の日之出町小学校。  たくさんの警官がウロウロしていた。  おれは怜音は、ミッション開始後、すぐに別行動した。  おれは今、職員室が見える二階の渡り廊下の物陰に隠れてる。  怜音は今頃、ドッチボールをそっと返却しているんだと思う、たぶん。  たぶん、っていうのは理由があって。  怜音とケンカをしてから、ほとんど口をきいていないんだ。 「怪盗ノットはまたうちの学校に盗みにくるんですか。勘弁してほしいですね」 「おっしゃる通りです、中川先生。私、大泉を筆頭に、警察がしっかりと警備をしますので、ご安心ください」  ふぅとため息をついて、職員室から出てきたのは、教頭の中川英和(なかがわひでかず)先生だった。  教頭先生に続いて、大泉刑事も出てきた。 「で、予告状に指定されたものは、わかったんですか?」 「もちろんです。教頭先生」  大泉刑事を愛菜が押しのけて、教頭先生の前に出た。 「四年二組の大泉愛菜さんですね」 「はい」 「うちの娘がお世話になっております」 「刑事さんの娘さんでしたか」 「私、警察に協力しているんです。教頭先生、今回も予告状が届きましたが、怪盗ノットが狙っているものがわかりました」 「それはなんですか?」
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