1人が本棚に入れています
本棚に追加
「カンタンには捕まんないよ」
おれは天井にむかって、七つ道具の一つであるワイヤーロープをビュンと投げた。
先端にステンレス製のフックがついたロープは、鉄梁にシュルシュルと巻きついた。
「あ~、ああ~~っ!」
やっぱりここは、ターザン風でしょっ。
叫びながらロープにしがみつき、足を伸ばして、思いっきり警官にむかって滑空した。
「うわあああ!!」
ドガッ、ガンッ、ドンッ!
おれがバカ正直にむかってきたもんだから、身構えてなかった警官たちは、おれの蹴りをくらって叫んだ。
面白いくらいドスンドスン、と尻もちをつくなんて、油断しすぎ!
ロープをしゅるりと回収していると、
「逮捕だ、怪盗ノット!」
怒鳴りながら、おれの背後を取った大きな体の警官が、おれの両肩をぐっとつかんだ。
痛ぇな、このバカ力っ。
おれはぐぐっと両手を近づける。
両手首にあるスイッチを、ピコンと押した。
グン、と空気が震えると、エネルギーがチャージされ、おれの体が熱くなる。
「な、なんだ、熱い!?」
びっくりした警官の腕を取り、背中を使って、思いっきり投げ飛ばした。
「一本背負いだ!」
ドターンッ!
警官の体は宙を浮き、体育館の床に見事に転がった。
一本! 決まったっ。
なんで小学生のおれが、大きな体の大人を投げ飛ばせたかって?
なぜなら、七つ道具の一つであるパワードスーツを身に着けているから!
パワードスーツは、おれの筋力を二倍にも三倍にもして、大人と対等にやり合えるようになるんだ。
さてと、逃げなきゃなっ。
最初のコメントを投稿しよう!