5 ミッション開始

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 おれたちが忍び込みたいのは、職員室と四年二組の教室だ。  特に、ドリルがある可能性が高い職員室は、確認しておきたい。  大泉刑事が言っていたように、職員室をメインで警備しているだろう。  だから、怜音がそこに忍び込めるように、警官を誘導しないとだな。  おれは意識を集中し、怜音の顔を思い浮かべる。  頭の中でイメージした怜音に呼びかけた。 『怜音、怜音。応答せよ』  これから警官を誘導すると伝えるために、テレパシーを送った。 『怜音……怜音……?』  何度呼びかけても、意識がつながらない。  これは……アイツ、テレパシーを無視してる。  はぁ……と深く息を吐く。  仕方ない。  おれたち双子は離れていても、タイミングが合うもんだ。  よし、いっちょ行くか! 「ミッションスタート!」  気合をいれて、渡り廊下から移動する。  職員室から見えるケヤキによじ登り、太い枝にすくっと立った。 「警察のみなさーん!!」 「だ、誰だ!?」 「パンパカパーン! 神出鬼没で変幻自在、怪盗ノット参上!!」  羽織った黒のジャケットをひるがえし、こぶしを突き上げポーズを決める。  決まった!  めちゃくちゃ気持ちいい!  お約束の決めポーズは、どんな時でもテンション上がるっ。 「出たわね、怪盗ノット! 今度こそ捕まえてあげるわ!」 「行け、捕まえるんだ!」  大泉刑事が号令を出すと、警官たちが一斉におれにむかって走り出した。
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