5 ミッション開始

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 パワードスーツの両足首にあるスイッチをピコンと押した。  グン、と空気が震えると、エネルギーがチャージされ、おれの体が熱くなる。 「おしーり、ぺんぺんっ」  警官たちをあおって、おれはシュン、とこの場から駆け出した。 「は、速い!」  警官が目を丸くした。  パワードスーツの足首のスイッチは、走るのが速くなったり、キックのパワーが上がるんだ。  大人になんて、負けないぞっ。  警官たちはびっくりしたけど、走ることはやめない。  そうこなくっちゃ!  おれは警官たちをひきつけながら、右へ左へ、上へ下へと縦横無尽に駆け抜けた。 「待つんだ、怪盗ノット!」 「だれが待つかよっ」  職員室のある北校舎から南校舎へと逃げ込む。  今頃、職員室は手薄なハズ。  怜音はちゃんと動いているんだろうか。  こっちのさわぎは聞こえているだろうから、動いていると思うんだけど。 『怜音……怜音、そっちはどうだ?』  走りながら、もう一度テレパシーを送る。  何度もテレパシーを送ってみたけど、返事はなかった。  作業中なのかもしれない。  だったら、おれは走りまくるだけっ。  一階、二階、三階と、上へ上へと駆け上る。  確か南校舎には、屋上に行ける階段があったはずだ。  おれはそこへ向かって進んでいく。  あった!
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