5 ミッション開始

9/10
前へ
/89ページ
次へ
「くそぉ、怪盗ノットめーっ!!」  おれたちはホバージェットの出力を最大限に上げて、スピードを出した。 「ああ! 怪盗ノット、待ちなさーい!」  運動場にいた愛菜と数人の警官が、空を飛んでいるおれたちを追ってくる。  けれど、当然運動場の塀に阻まれるわけで。 「うわあああ!!」  ドスンドスン、と警官たちが見事に塀にぶつかっちゃった。  おれたちは思わず笑ってしまった。  あ~あ。  おれたちを捕まえたかったら、空ぐらい飛ばなきゃ。  ま、無理か。  母さんが作ったホバージェットは、最新技術が使われているんだ。  ちょっとやそっとじゃマネできないもんな。 「今日も無事にミッション完了だな」 「おう。師匠に報告できるね」  顔を見合わせ、ニカっと笑い合う。  怜音と仲直りもできたし、ミッションも完了したし、めでたしめでたしだよな! 「楽しそうに笑って、何かいいことでもあったかい?」  え!?  突然、声をかけられた。 「だ、誰だ!?」  おれたちは空を飛んでる。  今、帰宅途中のマンションの屋上を通り過ぎようとしてた時だぞ。  一体、なんなんだ!?  辺りをきょろきょろ見回す。  マンションの受水槽のそばに、黒いボディースーツを着た男がこちらを見ていた。  アイツか……?  目が合うと、背中がゾクッとした。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加