6 新しい算数ドリル

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6 新しい算数ドリル

 週明けの月曜日の朝。  いつも通り、怜音と二人で登校していると、学校の正門で夢人に会った。 「志音くん、怜音くん、おはよ」 「夢人、おはよ!」 「はよ、夢人」 「あれ? もしかして仲直りした?」  夢人がおれたちの表情を見て、気がつく。  おれはぽりぽりと頭をかいた。 「……した」 「ほんとに!?」 「ごめんな、心配かけて」 「夢人、気にすんなよ。志音が暴走するなんて、いつものことだから」 「ぐぬぬ……今回ばかりは反論できねー」  おれたちのやり取りを見て、夢人がくすくすと笑った。 「よかった。二人が仲直りしてくれて。双子のきみたちがケンカなんて似合わないよ」 「そうかぁ?」 「そうかなぁ?」 「そうだよー」  おれたち、仲はいいと思うけど、結構ケンカしてるんだけどなぁ。  おれたちが頭にハテナを浮かべていると、夢人がさらに笑った。  キーンコーンカーンコーン。 「予鈴だ。早く教室に行かなきゃだな」  朝の予鈴が鳴って、おれたちはそれぞれの教室へ急いだ。  夢人と一緒に席につくと同時に、広瀬先生が入ってきた。  よっしゃ、セーフ。 「おはようございます……」  あれれ?  いつもの月曜日なら、ウザイくらい元気にあいさつをしているハズだ。  なのに、先生はしょんぼりとしている。 「みなさんに、残念なお知らせがあります」
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