1 怪盗じゃない怪盗、何を盗む?

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 倒れた警官をひょいっと飛び越し、おれは体育館の出入り口へまっしぐらに走った。 「ははは! バカめ、出入り口は封鎖している!」 「袋のネズミだ! 捕まえろ!」 「だから、カンタンには捕まんないんだって」  パワードスーツのスイッチを、ピコピコと何度か押す。  グググン、と空気が震え、エネルギーがどんどんチャージされていく。 「いっけーーーー!」  メリメリメリ、ドガンッ!!  固く閉じた扉を思いっきり押せば、大きな音を立てて扉が開いた。  パワードスーツの出力を最大にした結果だ。  どんなもんだい! 「う、うそだろ……!?」  大泉刑事のうろたえた声を背に受けながら、体育館の外へ出た。 「志音!」 「怜音!」  呼ばれた方向を見れば、体育館の屋根の上で、怜音が待っていた。  すぐに、ベルトのバックルにあるスイッチを、ピコンと押した。  腰に装備した、七つ道具の一つであるホバージェットが起動した。  ウイーン、とうなり声をあげる。  おれの体がふわりと浮くと、またたく間に、怜音の目の前に到着した。 「おまたせ!」 「ったく、やっときたか」  おれと顔がそっくりの怜音が、あきれた表情をして、おれを出迎えてくれた。  おれと同じデザインの黒のジャケットをはためかせ、青色のパワードスーツがちらりと見える。  ちなみに、おれは赤色なんだ。  アツい男って感じだろ?
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