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今、思い出しても、ふるえるような怖さがある。
タカのような鋭い視線を持つ男。
『怜音、アイツ、何者なんだろう?』
『世界管理機構EDENの諜報員・門司佐多雄じゃないかって、五朗のおじさんが言ってたな』
おれたちはミッションから帰ったあと、五朗のおじさんに報告した。
黒のボディースーツを着た、不気味な男にターゲットを奪われたって。
五朗のおじさんは少し考えてから、門司じゃないかって言ったんだ。
門司という男は、仕事の早さと戦闘力の高さで有名らしい。
『おれたちがCREOのキッズエージェントだってこと、わかってたのかな?』
『わかんねー。でも、五朗のおじさんはターゲットを奪われただけで済んだのは幸運だ、って言ってた。オレらがEDENに敵対している組織にいることは、わからなかったかもな』
おれたちや母さん、五朗のおじさんが所属している国際共創組織CREOと、世界管理機構EDENは対立をしてる。
五朗のおじさんに教えてもらったことがいくつかあるんだ。
世界管理機構EDENは、『人間は愚かだから、コントロールしてあげなければ、世界は存続しない』と考えるグループなんだって。
それを阻止しようとしているのが、国際共創組織CREOだ。
CREOは『みんなが持つクリエイティブ力を発揮して、世界を豊かにしていこう』と考えているグループなんだ。
考え方が正反対だから、敵対している。
母さんが命を狙われているのも、そのためだ。
『おれたちが怪盗ノットをやってたから、助かったってことか』
『だな』
「静かにしなさい。廊下まで二組の声が響いています」
がらりと教室の扉が開き、クラスのみんながぴたりとおしゃべりをやめた。
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