6 新しい算数ドリル

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 今、思い出しても、ふるえるような怖さがある。  タカのような鋭い視線を持つ男。 『怜音、アイツ、何者なんだろう?』 『世界管理機構EDEN(せかいかんりきこうエデン)の諜報員・門司佐多雄(もんじさだお)じゃないかって、五朗のおじさんが言ってたな』  おれたちはミッションから帰ったあと、五朗のおじさんに報告した。  黒のボディースーツを着た、不気味な男にターゲットを奪われたって。  五朗のおじさんは少し考えてから、門司じゃないかって言ったんだ。  門司という男は、仕事の早さと戦闘力の高さで有名らしい。 『おれたちがCREOのキッズエージェントだってこと、わかってたのかな?』 『わかんねー。でも、五朗のおじさんはターゲットを奪われただけで済んだのは幸運だ、って言ってた。オレらがEDENに敵対している組織にいることは、わからなかったかもな』  おれたちや母さん、五朗のおじさんが所属している国際共創組織CREOと、世界管理機構EDENは対立をしてる。  五朗のおじさんに教えてもらったことがいくつかあるんだ。  世界管理機構EDENは、『人間は愚かだから、コントロールしてあげなければ、世界は存続しない』と考えるグループなんだって。  それを阻止しようとしているのが、国際共創組織CREOだ。  CREOは『みんなが持つクリエイティブ力を発揮して、世界を豊かにしていこう』と考えているグループなんだ。  考え方が正反対だから、敵対している。  母さんが命を狙われているのも、そのためだ。 『おれたちが怪盗ノットをやってたから、助かったってことか』 『だな』 「静かにしなさい。廊下まで二組の声が響いています」  がらりと教室の扉が開き、クラスのみんながぴたりとおしゃべりをやめた。
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