6 新しい算数ドリル

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「いつも元気な二組さんが、こんなに休むなんてね。ほかの先生たちもびっくりしてたし、なにより私が一番信じられないわ」  うん、おれも信じられない。 『さわがしくて元気な二組』ってイメージは、自分たちもほかの人たちも認めるところ。  でも、これは現実だ。  一体これは、どういうことなんだ? 「今日、二組だけは給食後下校し、金曜日はお休み。次は月曜日に登校してください」  学級閉鎖って、本当なんだな。  あまりに急すぎて、実感がわかない。 「人が少ないけど、授業をするわよ」  もう一度、はぁ、とため息をついた先生は、おれたちに声をかけた。  今日の授業が始まった。  一時間目、二時間目と過ぎていき、いつのまにか、給食も終わってしまった。  何を食べたのか覚えていない。  それくらい、一日中もやもやしっぱなしだった。  もやもやしたまま、下校した。  いつもより人通りがすくないのは、当たり前か。  おれたち四年二組だけが、下校してるんだからな。 「ただいまぁ」 「おかえり、志音。学級閉鎖だって? 学校からメールが来てびっくりしたよ」 「うん」  家に帰ってくると、五朗のおじさんが玄関で出迎えてくれた。 「手を洗ってうがいしておいで。体調不良にならないようにしないとね」 「うん」
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