6 新しい算数ドリル

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「うん。算数ドリルがないだろ? その代わりに、新しい算数ドリルが配られたんだ」 「ロボチップはあったりする?」 「おれ、今回はちゃんと調べた。ロボチップがないことは確認済だよ」 「そっか。じゃあ、原因はロボチップじゃないということか。そのドリル持ってる?」 「うん」 「調べてみようか」  おれは部屋に戻ってドリルを取りに行き、五朗のおじさんの部屋に入った。  五朗のおじさんの部屋は、仕事場兼寝室になっている。  寝床であるベッドよりも、大きく場所をとっているものがある。  デスクにある自作のパソコンや二台あるモニターなど、仕事用のものだ。  そのデスクに先に座っていた五朗のおじさんに、ドリルを渡した。 「これだよ、新しい算数ドリル」 「ありがと。ふむ……確かに、ロボチップは仕掛けられてなさそうだね」  五朗のおじさんがページをめくりながら、すばやくチェックする。 「これと言って、あやしいところは見当たらないけど……解析してみようか」 「うん」  五朗のおじさんは、ドリルをスキャン装置に入れた。  立方体の形をしているスキャン装置は、『何があるのか』を調べられる装置だ。  今回で言えば、ドリルの原材料がわかったり、どんな問題が何問あるのかがわかったりするんだ。  これも母さんが作った発明品の一つなんだ。 「へぇ、厄介なことしてくれてんね」  五朗のおじさんがぽつりと言った。
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