6 新しい算数ドリル

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「なになに?」 「見てごらん。この部分なんだけど」  五朗のおじさんがモニターを指さした。  そこにあるのは、新しい算数ドリルの画像。  ドリルは計算式や数字が赤く光っていた。 「おじさん、なんでここが赤く光ってんの?」 「赤く光っている部分はね、ロボチップと同じようなものがプログラムされてるんだ」 「ロボチップと同じ!? それって、ロボチップはなくても、子どもがロボット化しちゃうってこと!?」 「そうだよ。新しいコントロールシステムを開発しているのかもね」 「ええーっ、マジかよ!?」  ロボチップ以外のものがでてくるなんて、ヤバすぎじゃん!  五朗のおじさんの言葉に、おれは顔を青くした。 「このプログラムは、問題を解けば解くほど、脳に刺激が与えられるようになってるみたいだね」 「解けば解くほど!?」 「そう。ただ、これだけじゃなくて、定期的に算数のテストを受けることで、早くロボット化させることができる。ドリルとテストは、二つで一つってわけだ」 「テストか。確かに、二週間後にテストをするって言われた」 「誰に言われたの?」 「教頭先生。だって、その新しい算数ドリルも、教頭先生が持ってきたんだ」 「ふーん。教頭先生ね。教育委員会を通じて、一部の小学校に配布しているのかもしれない。EDENは政府中枢ともつながっているからね」 「じゃあ、教頭先生はこれが何か、知ってるかもしれないってこと?」 「それはないよ。EDENは人を使うけど、真意は伝えないのがやり口だからね」  EDENって卑怯だな。  それって、自分たちのしっぽはつかませないってことだろ。 「ただ、コレは試作段階って感じだね」 「試作段階?」  おれは首をかしげた。
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