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「待ちなさい、怪盗ノット!」
宙に浮いているおれたちを見上げて、警官たちと一緒にいる愛菜が叫んだ。
「ミッション完了! それではみなさん、ばーいばーい!」
「待て!」
「逃げるな!」
警官たちが口々に叫ぶ中、
「怪盗ノット、必ず捕まえてみせるわ!」
悔しそうな愛菜が、捨てゼリフを口にした。
ぐんぐん高度を上げれば、豆粒になっていく愛菜に向けて、言葉を返す。
「ま、おれたち、怪盗じゃないけどね」
この高度では、本人に届かない。
「怪盗とは仮の姿。オレらの正体は……」
「国際共創組織CREOのキッズエージェントだからな」
エージェント、つまりスパイのようなもの。
怪盗じゃない怪盗。
それがおれたちの正体だ。
「やっべ、もうすぐ門限の九時だ!」
小学校の時計を見て、怜音が叫んだ。
「マジか! 急げ!」
おれたちはホバージェットの出力を最大限に上げて、スピードを出した。
ここからはスピード勝負だっ。
小学校をあっという間に離れ、月に照らされ、夜の闇をかける。
おれたちが目指すのは、高級マンションの最上階にある、でっかいルーフバルコニーがある部屋。
時間にして五分。
見えた!
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