1 怪盗じゃない怪盗、何を盗む?

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「ただいま!」  タッ、とルーフバルコニーに降り立つと、おれたちを待ちかまえていた長身の男がいた。  神木五朗(かみきごろう)、おれたち双子の伯父さんだ。 「おかえり」 「今、何時!?」 「八時五十分」 「セーフ! おじさん、大丈夫だよな!?」 「ミッションの時はおじさんじゃなくて、師匠ね。ターゲットは入手した?」 「もちろん」  怜音はベルトに装着していた、手のひらより少し大きめの黒いカプセルを、おじさんに手渡す。 「門限はギリギリだったけど、ミッションは合格。お疲れ~」  五朗のおじさんはイケメンといわれる顔で、ばちこんとウインクをした。  三十代のはずなんだけど、年齢不詳に見える若々しさだ。  五朗のおじさんはキッズエージェントとして活動する、おれたちの監督官でもある。  いろんな技術も教えてくれるから、ぜーんぶひっくるめて、師匠だ。 「志音、怜音、明日は学校でしょ? 寝る準備してねー」 「うわっ、早く寝ないと!」 「志音、明日の準備、忘れるなよ」 「怜音、わかってるっての」  おれたちはそろってリビングの掃き出し窓を開けると、ドタバタとかけだした。  明日は学校だ。  キッズエージェントとして活動しているけど、おれたちは小学四年生なんだ。  しっかり小学生しなきゃだな!
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