2 双子は小学4年生

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2 双子は小学4年生

 ピンポンパンポーン 『お昼の放送の時間です。日之出町小学校(ひのでまちしょうがっこう)放送委員会がお送りします』  ノリノリな音楽が、教室のスピーカーから流れ出した。  おれのクラスである四年二組は、ちょうど給食の時間中だ。  今日の給食は、みんな大好きチキンカレー。  もちろん、おれもカレーは大好物。  するでしょ、おかわり! 『最初にみなさんにお知らせです。昨夜、私たちの小学校に怪盗ノットが現れました。ドッチボールが盗まれてしまったため、しばらくドッチボールはできません』 「ええええええっっ!?」  クラスのみんなが、目を丸くして叫んだ。 「また怪盗ノットが現れたんだ!」 「最近、この地域でよく出てくるよなー」 「今度はドッチボールだって」  クラスのみんなが、口々に怪盗ノットのことを話し出した。  そんなみんなをよそに、カレーをおかわりする。  一口食べれば幸せが広がる。  はあ、おいしいー!  給食のおばちゃん、ありがとう。 「っていうかさ、怪盗ノットって、いつもヘンテコなものばかり盗むよな」 「そうそう。宝石とか絵とかお宝じゃないんだよな。えんぴつの時もあったし」 「教科書も聞いたことあるぜ」 「教科書はうらやましー」  たははー、ヘンテコなものばかり盗んでいるように見えるんだ。  そりゃそうだよな。  怪盗、って聞けば、ルパンとかを思い出すから、盗むものと言えばお宝をイメージするよな。  でも、おれたち怪盗ノットは、そんなものを盗まないんだよ。  ちゃーんと、それを盗む理由があるんだ。
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