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腰のくぼみと胸の膨らみがはっきりと分かるTシャツに、太ももが見えるほど短いスカート。伸ばした茶色の髪は、毛先にウェーブがかかっている。持っているバッグは、ブランドもののそれだった。
「トモちゃん……」
タツキくんがぽつりと呟いたのが、僕の耳にはっきりと届いた。
「トモミ先輩だ!」とタイスケがやけに嬉しそうな声で言うのと「げ……」とケイゴくんが漏らしたのは、その直後の事だった。
「相変わらず汗くさい場所にいるのね。タツくん、アタシ探したんだからね!」
トモちゃん、タツくんと呼び合う男女の仲。幼なじみには感じられないこの空気。突如として現れたあの女の人は、おそらくタツキくんの彼女だろう。そして、タイスケは彼女を慕っていて、ケイゴくんはあまり関わりたくないようだ。
ほんの少しの時間で、僕にはそれだけのことが予測出来た。
「……ごめん、でも、今日は会わないって言ってたじゃないか」
「会いたかったの!」
僕は彼女の声にイラッとしたが、タツキくんは正反対の感情を抱いたようで、ニッコリと笑って「そっかそっか、なら仕方ないな」と彼女の頭を撫でていた。
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