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「……オ、オレなんて、まだまだっすよ」
顔を赤らめながらそう言ったタイスケは、心なしか嬉しそうに見える。トモミさんの事が好きなのか、思春期特有の感情を抱いているのか、僕には分からなかった。
「あら残念。でもタイスケはボクシングで高校に行くんでしょ?ケイゴの一人や二人、KOしなきゃいけないんじゃないの?」
「オレにも、よくわかんないです。……確かにボクシングは好きだけど、オレみたいなのが高校の先生に声をかけられたなんて、今でも信じられない」
「ふーん。まあ、試験勉強をそんなにしなくても高校に行けるからいいんじゃない?好きな事をやれるってうらやましいわ」
トモミさんは感傷的な表情を一瞬浮かべたあと、ふと視線を僕の方にやった。その時に初めて、彼女は僕の存在に気付いたようだ。
「タツくん、この子誰?」
「ココ、コースケだよ、紅蓮のリーダーだって、この間話しただろ」
タツキくんは明らかに狼狽した様子で、僕の名前をニワトリみたいにアレンジしてくれた。
「このコが?見えない!タツくんの方がリーダーっぽい!」
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