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制服に手をかけて彼女の柔らかい肌を露にしようとしたその時だった。
彼女は、、、
泣いていた。
雨音が遠くなっていく。
あんなに激しく打ち付けていた雨が、止んだ。
そして彼女は雨粒のような涙をほろりほろりと流して小さな声で囁いた。
「ごめん、、、なさい、、、」
雨が上がった。
それと同じように僕の心と体の熱が一気に引いていくのが分かった。
静かに、そして穏やかに昂る気持ちが冷静さを取り戻していく。
さっきまで聞こえていなかった蝉の鳴き声が聞こえる。うるさいあの声が僕の心に揺さぶりをかけた。
「謝るのは僕の方です。ごめんなさい、、、。」
なんて情けないんだろうか。
でも謝らずにはいられなかった。薄っぺらい謝罪の言葉なんて無いに等しいかもしれないけれど、何も無いよりはずっといい。
「あなたは悪くないわ。私がいけないの、、、」
彼女の瞳も、頬もまだ濡れていた。
それはまるで雨上がりの道の様だ。
彼女がそっと立ち上がると乾いた風が東屋を通り抜けていく。
靡いた髪の毛に夏の匂いとシャンプーの甘い香りを乗せて風が僕の鼻をくすぐった。
「雨、止んだね。」
空を見上げた彼女はさっきまで僕に見せていた彼女とはどこか違うように見えた。雲が流れて澱んでいた空の隙間から爽やかな青色が顔を出した。
「綺麗、、、ですね。」
僕の言葉に微笑む彼女は陽の光に照らされてキラキラと光る雨上がりの雨粒みたいだ。
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