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虹が見えた日
梅雨が終わって夏になると、今度は夕立だ。
僕はお役御免にはならない。
その日も早坂と相合い傘で通学路を歩いていた。
すると、途中で夕立が止んだ。
「あ! 虹!」
早坂が嬉しそうな声を上げて、空を指差した。
僕は身を乗り出すようにして、早坂越しにそちらを見た。
「よく見て! 二重だよ、高……」
ハイテンションでふり向いた早坂が息を飲んだ。身を乗り出していた僕は、目の前で固まった早坂の顔に……つい吸い寄せられてしまった。
唇が離れたあと、早坂は僕の手からちぎるように傘を取って、走り去って行った。
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