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自己紹介の後は、テストがあった。いきなりかよ、ってみんな口々に言っていたし、私もそう思った。そもそも私は勉強が全然ダメってほどでもないけど、得意でもない。普通に憂鬱だったし、疲れた。
「みんなテストお疲れ様。これから、学級委員長や副学級委員長、委員や係を決めたいと思うんだけど、誰か司会進行と書記をやってくれるやついるか?」
教室がシン……となる。学級委員長なんかは内申目当ての人や、明るい人たちが立候補するかもしれないけど、こんな係決めみたいな司会進行や書記なんて、面倒くさいだけで誰もやるはずない。
「先生、書記に白石さんはどうでしょう! 白石さん字もきれいだし、いいと思います」
「えっ」
手を挙げて、そう言ったのは、同じ小学校だった山口さん。活発で、運動神経が良くて、クラスの中心人物だった……。
……やりたくない。
そう声を出そうとするも、口からひゅっと息がもれるだけ。
「お、じゃあ白石、やってもらってもいいか?」
「……はい」
「じゃあ、よろしくな」
山口さんに、面倒な仕事を押し付けられたような気がして、俯いてしまう。嫌なら嫌だと断ればいいのに、それができない。そんな自分に本当に嫌気が差す。
「じゃあ、司会進行は……。誰もいないなら、白石、司会もやってもらっていいか」
「え」
頭に更に重たい物が乗っかったような気分になる。
どうしてそうなってしまうのだろう。私、一言もやるって言ってないのに。「やってもらっていいか」なんて聞かれたら、もうそこに拒否権がない。
「……はい。やります」
「ありがとな~。じゃあ前に出て始めてくれ」
重たい足取りで黒板へと向かった。
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