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「舞……大丈夫?」
「大丈夫じゃない」
八つ当たるの、本当によくないけど、恵子の前ではすべてをさらけ出せた。
「まぁ確かに、原田さんはルックスもいいし、性格もいいし、バスケもできるけど、まだ決まったわけじゃないじゃん」
「決まってる。もう、百億パーセント、二人は付き合ってる」
「じゃあさ、ストレートに聞いたの? 瀬永くんと付き合ってるのって」
「聞いてない」
「じゃあ、舞の早とちりかもよ」
「そんなわけない。だってお互い下の名前で呼び合ってたし、仲良さそうだったし、ずっと好きでやっと結ばれたとかなんとか……もう無理……」
「……」
恵子はコイツめんどくさ、みたいな顔をして「じゃあ私五時限目の準備してくるね」と席を離れた。
「う~」
相手が、東花じゃなくて、どうでもいいその辺の人だったらよかったのに。
東花がすごくいい子で、友達だから、心から嫌だなんて思えない。
それに。負けないぞ! なんて思っても、東花だったら全く勝ち目がないじゃないか。
容姿も、性格も、バスケも。
完全にお似合いな二人だ。
「はぁ……」
そもそも、何の長所もない私が瀬永を好きになったこと自体、身の程知らずだったんだ。ちょっと委員会の仕事手伝ってくれたり、庇ってくれたりしたから、調子に乗って……。
「だる……」
放課後のバスケ部。今日は男子と体育館を分け合う。それが信じられないくらい、憂鬱だった。
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