4 敵わない……

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「舞……大丈夫?」 「大丈夫じゃない」  八つ当たるの、本当によくないけど、恵子の前ではすべてをさらけ出せた。 「まぁ確かに、原田さんはルックスもいいし、性格もいいし、バスケもできるけど、まだ決まったわけじゃないじゃん」 「決まってる。もう、百億パーセント、二人は付き合ってる」 「じゃあさ、ストレートに聞いたの? 瀬永くんと付き合ってるのって」 「聞いてない」 「じゃあ、舞の早とちりかもよ」 「そんなわけない。だってお互い下の名前で呼び合ってたし、仲良さそうだったし、ずっと好きでやっと結ばれたとかなんとか……もう無理……」 「……」  恵子はコイツめんどくさ、みたいな顔をして「じゃあ私五時限目の準備してくるね」と席を離れた。 「う~」  相手が、東花じゃなくて、どうでもいいその辺の人だったらよかったのに。  東花がすごくいい子で、友達だから、心から嫌だなんて思えない。  それに。負けないぞ! なんて思っても、東花だったら全く勝ち目がないじゃないか。  容姿も、性格も、バスケも。  完全にお似合いな二人だ。 「はぁ……」  そもそも、何の長所もない私が瀬永を好きになったこと自体、身の程知らずだったんだ。ちょっと委員会の仕事手伝ってくれたり、庇ってくれたりしたから、調子に乗って……。 「だる……」  放課後のバスケ部。今日は男子と体育館を分け合う。それが信じられないくらい、憂鬱だった。
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