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「おはよ! 白石」
「おはよ~。 こないだは勝手に帰ってごめん」
「気にするなって。なんか大変な用事があったんだろ?」
「……うん」
東花が後ろでニヤニヤしながらこっちを見ている。
昨日、勘違いが解けたのはいいけれど、東花には瀬永への気持ちはばれてしまった。
「もしかして……琉偉が好き?」
「……うん」
「そうだったんだ……。舞が……。応援するよ! 琉偉彼女いないし」
「え、ほ、ほんと?」
「うん。明日、交差点に、七時十五分ごろ着くから、そこから一緒に行こ! 二人になれるよう、私後ろの方にサッと行くからさ」
「……いいの? そ、その私なんか……」
「もう、そーやって『私なんか』なんて言わないの! 舞は自己評価が低いかもしれないけど、ほんとにすっごく可愛い、素直な子なんだから! もっと自信もって」
「……ありがとう」
……そうだよね。私、変わるんだ。
そんな風に思って、今日七時十五分に交差点前に来たわけで……。
「昨日ランニング疲れてさ~。女子も走った?」
「うん。シュート練習外した人は走ってたよ」
「やっぱそうか~」
やっぱり、会話は主に部活。
別にそれが嫌とかじゃないけど、なんかもっと家族のこととか、友達のこととか、そういう話がしたいなって思う。
東花と付き合ってるお兄さん、どんな人なの? やっぱり瀬永と似ていてすっごくかっこいいとか? 瀬永はもしかしてキューピット役だったの?
何だか気になってしょうがない。でも、なんかそういう話って踏み込みにくい。
瀬永じゃなくて、東花に聞けばいいのだろうけど。でも、前に「今ちょっと微妙で……」みたいなことを言っていた。それに、お兄さんの佳偉さんと付き合ってることは教えてくれたけど、それ以上は何も言わなかった。
……何か、あるのかな。簡単に話せないような、何かが。
「そいや白石、来週からまた環境委員の仕事あるよな」
「うん」
「朝練前に、二人でやろっか」
「え、い、いいの?」
「おう。一人より二人でやった方が早く片付くだろうし……あ、そうだ。東花も手伝ってよ。三人でやるほうが早いだろ」
「ごめん、私も給食委員の仕事があるからさ。ちょっと行けそうにないや」
「そっか~。それなら仕方ないな」
東花はこちらを見てニッと笑う。
ほんと、協力してくれる、心強い友達だ。
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