5 瀬永ともっと近づきたい!

2/12
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
「おはよ! 白石」 「おはよ~。 こないだは勝手に帰ってごめん」 「気にするなって。なんか大変な用事があったんだろ?」 「……うん」  東花が後ろでニヤニヤしながらこっちを見ている。  昨日、勘違いが解けたのはいいけれど、東花には瀬永への気持ちはばれてしまった。 「もしかして……琉偉が好き?」 「……うん」 「そうだったんだ……。舞が……。応援するよ! 琉偉彼女いないし」 「え、ほ、ほんと?」 「うん。明日、交差点に、七時十五分ごろ着くから、そこから一緒に行こ! 二人になれるよう、私後ろの方にサッと行くからさ」 「……いいの? そ、その私なんか……」 「もう、そーやって『私なんか』なんて言わないの! 舞は自己評価が低いかもしれないけど、ほんとにすっごく可愛い、素直な子なんだから! もっと自信もって」 「……ありがとう」  ……そうだよね。私、変わるんだ。  そんな風に思って、今日七時十五分に交差点前に来たわけで……。 「昨日ランニング疲れてさ~。女子も走った?」 「うん。シュート練習外した人は走ってたよ」 「やっぱそうか~」  やっぱり、会話は主に部活。  別にそれが嫌とかじゃないけど、なんかもっと家族のこととか、友達のこととか、そういう話がしたいなって思う。  東花と付き合ってるお兄さん、どんな人なの? やっぱり瀬永と似ていてすっごくかっこいいとか? 瀬永はもしかしてキューピット役だったの?  何だか気になってしょうがない。でも、なんかそういう話って踏み込みにくい。  瀬永じゃなくて、東花に聞けばいいのだろうけど。でも、前に「今ちょっと微妙で……」みたいなことを言っていた。それに、お兄さんの佳偉さんと付き合ってることは教えてくれたけど、それ以上は何も言わなかった。  ……何か、あるのかな。簡単に話せないような、何かが。 「そいや白石、来週からまた環境委員の仕事あるよな」 「うん」 「朝練前に、二人でやろっか」 「え、い、いいの?」 「おう。一人より二人でやった方が早く片付くだろうし……あ、そうだ。東花も手伝ってよ。三人でやるほうが早いだろ」 「ごめん、私も給食委員の仕事があるからさ。ちょっと行けそうにないや」 「そっか~。それなら仕方ないな」  東花はこちらを見てニッと笑う。  ほんと、協力してくれる、心強い友達だ。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!