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「おはよ! 白石」
「おはよ~。瀬永」
六時四十五分。朝練の前に、急いで花壇や庭の手入れをする。
東花のおかげで、ちゃんと二人きり。すごく、気持ちがふわふわする。
「来週からテスト週間だから、しっかり部活ができなくなるね」
「ほんとそれ。もっとうまくなりたいんだけどさ」
「じゃあさ、テスト週間になってもさ、バスケ練習しない? あ、日曜だけさ。今原公民館で。二~三時間くらい!」
「えっ……いいの?」
「勉強に支障がないくらいでさ、やろうぜ」
テスト週間になったら、日曜の特訓もなくなると思っていた。瀬永と変わらず会えるなんて……う、嬉しい……。
「息抜きになるだろうし、やりたい」
「よかった。じゃあ、約束な」
瀬永が右手の小指をピンと立てて、こちらに向けてくる。
え、これって、「指切りげんまん」……?
急いで小指を立てて、瀬永の方へ向ける。
「……!」
すると瀬永が小指をすくいとるように絡めてくる。少し汗ばんでて、私の指先も湿る。ドクン、と心臓が跳ね、顔が熱くなっていく。
「指きーりげんまん、うーそついたら針千本のーます。指切った!」
小指が離れる。でも、感覚がまだ残っていて、瀬永の指とまだ結ばれてるんじゃないか、なんて思う。
「絶対来いよ! 指切りしたし、約束な!」
「……う、うん。絶対行く。や、約束」
まだ心臓の音がやまず、言葉も途切れ途切れになってしまう。
瀬永は深い意味をもってやったわけじゃないのだろう。それに抱きしめられたり、キスされたわけじゃない。
でも、指が絡んだだけで、こんなにも心臓の音がうるさくなるなんて。
本当、私、瀬永が好きなんだな。
わかっているはずなのに、なんだか改めて気づかされて、また顔が熱くなった。
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