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シュッ。
「ナイシュ! すげーじゃん! 白石、どんどん上達してる!」
「ありがとう。こうして瀬永と練習しているからだよ」
東花みたいにレギュラーになれるほどうまくはないけど、シュートが入ったり、褒められたりすると嬉しい。
そして何より、二人きりでいられるこの時間がすごく貴重。
「瀬永は、レギュラーに入れそう?」
「いや~。当分無理だな。レギュラーは先輩たちで占めてるし。趣味でやってたとはいえ、未経験なようなものだし」
「でも、アドバイスも的確だし、いつもきれいにシュート入るし、パスもうまいし! 絶対すぐレギュラーになれるよ!」
「あんま褒めても何も出ないぞ~」
ニカッと笑う。
「ホント、白石といると元気が出るわ。ありがとう」
え、ええ、え。
胸の鼓動がどんどん早くなる。体中が火照っていく。
私といると元気が出る……。
その言葉の意味まんまで、そこに深い何かがあるわけじゃないのだろう。でも、それって、私のこと、好きとか、気になってるとか、そういうことなんじゃないのって、頭の中がぐちゃぐちゃになる。
「わ、私も! 瀬永といると、心がぽかぽかする!」
「え?」
ハッ。
わ、私はまた何を言ってるんだろう。
「いや、その、すごくあったかくなるっていうか、なんていうか、いい気分になるというか」
「あのさ」
瀬永が、まっすぐこちらを見ている。
「俺も、白石といると心がぽかぽかする」
「え」
「一緒にいて楽しいし、落ち着くし」
瀬永の顔がリンゴのように赤くなる。
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