1 変わりたい!

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「白石さんって、何小だったんだっけ?」 「あ、えっと富川(とみかわ)小」 「お、じゃあ一番都会にある大きな小学校じゃん。シティガールだな」 「いや、そんな、今原(いまばら)小と変わらないよ」 「お、俺の出身小学校覚えてくれてたんだな」 「……うん」  花壇の水やりを終え、二人で教室へと急ぐ。 「当番って、金曜まであるの?」 「うん。一年二年三年って週ごとに順繰り回っていくみたい」 「じゃあ、俺、明日も来ようか?」 「えっ」 「また白石さんが一人で仕事やってるの、見てられないし。俺でよかったらだけど、手伝うよ」 「な、なんで」 「ん?」 「なんでそこまで……」  嬉しい気持ちもあるけれど、びっくりした。  なんで、瀬永くんはここまでしてくれるのだろう。  私なんて、何の長所もない。名前負けって言われるくらい、暗くて、地味で、かわいくもない。嫌な仕事を押し付けられても何も言い返せない、そんな女子なのに。 「白石さんって、すごい頑張る人だなって思って」 「え」 「俺、頑張ってる人をみるとすごく応援(おうえん)したくなるというか、うまく言えないけど。何でもかんでも仕事サボったり、人に押し付ける人間、めちゃくちゃ苦手なんだよな。白石さんはそんな人たちとは違って、文句も言わず頑張ってるからさ。力になりたいなって思って」 「……そう」  なんだか、心の中がぽかぽかする。  まだ、会ってほとんど日にちが経ってないのに、私のこと、ちゃんと見てくれているだけじゃなくて、力になりたいと思ってくれている人がいる。  そのことが、ものすごく嬉しい。 「じゃあ、明日もお願いしてもいい?」 「おう。じゃあ、今日より早めに行くよ」 「うん、ありがと」  瀬永くんの額に流れる汗がきらりと光った。
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