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「ねぇ、部活見学一緒に行こ」
「うん! いいよ」
同じ小学校の出身の上野恵子と一緒に教室を出た。
「恵子は何部に入りたいとかあるの?」
「うーん、私は運動が苦手だから、文化部に入ろうかなって思っててさ」
「そうなんだ……」
「舞は?」
「私は……。運動部に入ろうかなって思ってる」
「ええっ。そうなの?」
「うん」
私も、運動神経はあまりよくない。でも、ちょっとは活発な子になりたいから、運動部に入って明るくなれたら……なんて思ってる。
「え~。私、舞も文化部入るものだと思ってたから、同じ部活になると思ってたのに」
「……ごめん。でも見学したら気が変わるかもしれないし」
「まぁ、そうだよね。百聞は一見に如かずというしね」
そうして、二人でいろんな部活を見学した。
テニス部、陸上部、バレー部、ハンドボール部、柔道部、卓球部……。
恵子の付き合いで、吹奏楽部、美術部、演劇部も見学した。
ピアノを習っていたから、吹奏楽部も楽しそうではあったし、演劇部の発声練習をする様子なんかは体育会系っぽかった。
でも、やっぱり……。
「私、バレー部入ろうかなぁ……」
「あらら。やっぱり運動部なんだ」
「うん。私、バレー漫画読んでバレーに憧れていたし。なんとなくよさそうだなって思って」
「ふーん。そっか」
西日が雲の間から差し込んで、まぶたを閉じたくなる。
「あ、でもまだバスケ部見学してなくない? 確か今日は職員室前のホールで練習してるって……」
「そうだね。一応見ていこっか」
一応。念のために行こう。
そんな思いでホールへ向かった。
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