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「うん。士気の高まりも申し分なし。敵地に乗り込もうじゃないか」
高まったボルテージが身内に向いてるのは意にも介さず、マイペースな渦月はノリノリで研究所に入って行く。
戦闘マニアめ……。主役は折坂じゃないのかよ。
その折坂はと言えば諍いの尾も引かずに「よっしゃ」と口ずさみ指の関節を鳴らした。
もう機嫌が直ってやがる。この竹を割った性格が折坂の長所かもしれないな。
建物の内部は黒一色ではなかった。非常口の冷たい緑と足元を照らす小さな黄緑色が一定の幅で灯っている。
入ってすぐ右側の床にはカラーコーンが並び、お粗末にもその先への侵入を拒んでいた。
丸いテーブルや背もたれのついたプラスチック製の椅子が一箇所に集められているのを見るに、元はオープンな応客スペースか休憩所だったのかもしれない。
今は床が崩れて歪な穴を空け、その周囲も黒く焦げている。
先の襲撃の際、爆薬で打ち抜き地下へ潜入した跡だ。
「ここからは下に潜れそうもないナ」
穴を覗き込むとそこには瓦礫の山で塞がれていた。地下の隠蔽のための最後の悪足掻きでもしたのだろうか。
最短の抜け道が駄目なら正規ルートを辿るしかない。
「地下への階段なら他にある。ついて来てくれ」
先を歩くと折坂が声を掛けた。
「階段なんてどうやって知ったんですか?」
「任務の時にメールが来たんだ。自分で調べた訳じゃないよ」
暗がりの通路を進み目的地へと辿り着く。
『会議室1』と『会議室2』のプレートがそれぞれ扉の左隣に設置されている。
迷わずに『会議室2』のプレートを右に2回左に3回回すと両部屋の間の壁に長方形の筋が入った。
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