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「……ふーん」
喉まで出かかった言葉を飲み込み水原は後ろ手を組む。
「でもそんなに卑屈にならなくてもいいんじゃない?少なくとも顔は負けてないと思うよ?」
何時になく可愛らしい言い方で、悪戯っぽく笑ってみせた。
「……滅多な事言うなよ。現金でもせがむんじゃないだろうな」
「だってさっきからずっと空元気なんだもん。ちょっとくらい励ましてあげなきゃって思うじゃん」
「うわぁ、いらないんだよなぁその優しさ」
うんざりしながら露骨に嫌な顔をする。
こんな無駄な配慮をさせてしまうほど俺は気落ちしていたのか。帰ったら大反省会待ったなしだ。
淡いオレンジ色の駅に着く。わらわら動く雑踏はどこに流れていくのだろうか。
ただ言えるのは2人の行く先は別になるだけ。
「じゃ、俺はこの辺で」
「また学校で」
投げやりに手を振りホームを目指す。
不定期本部視察の結果報告。
心身ともに強い疲労感に襲われる為、これからは端末受注に専念しましょう。
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