深夜潜入作戦

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 忙しく動く球体が光を収束する。レーザー発射前の予備動作だ。  すかさず回避。しかし1度で終わりではない。  一瞬で全体を見渡す。予備動作からレーザーが飛んでくる機体の順番と位置を把握。  屈み、身を捻り、頭を下げレーザーをかわす。  どうしても避けきれない時は氷で防ぐもこれは最小限に留める。後はひたすらこれの繰り返しだ。  そろそろ集中力が切れてきたなと思い右手に握っていたスイッチで機体の電源を落とした。  駆動音が下がり球体はゆっくりとコンクリートの地面に着地する。どれも例外なくその場でしばらく転がった。  腕時計は深夜1時を指していた。始めたのが11時。2時間近く動きっぱなしだったのか。  額に浮いた汗を拭う。負傷した箇所はまだ気にならないけど、アドレナリンが収まり次第牙を剥きそうだ。  火傷特有のしつこい痛みを想像していると左腕にはめた銀のブレスレットが電子音を鳴らした。  今のは元の世界でスマホに連絡が来た合図だ。  この時間に掛かってくるって事は任務かな。  銀のブレスレットで過放次元の座標をスキャンする。これで後からでも球体を回収できる。  波紋のように揺れる家の玄関に足を踏み入れる。過放次元のゲートを潜り元の世界へ戻る。  蛍光灯は付いておらず真っ暗な自宅の一階。  受付台の上に置いてあったスマホは登録のない電話番号を表示していた。
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