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「いやー、同じ学校に強い人がいると思ったらテンション上がっちゃってさ。仲間意識芽生えちゃったんだよね」
問題の重要さを理解してない折坂に反省の色は薄い。
俺達を連れ回した裏でそんな事を思ってたのか。案外単純というか軽率というか、素直なやつだ。
呆れているのは渦月も同じたった。
「とにかく、当初の約束通りこれで協力関係は終了だ」
「えー、そりゃないぜ」
「まぁ、最後まで聞きなヨ」
宥めるように言うと渦月は俺に近寄った。
「本来ならそうするはずだったけど、君も運が良い。矢浪尋に限っては今回の件は不問にしよう」
折坂は首を傾げる。
「何で矢浪の先輩だと大丈夫なの?」
「おい、お前……」
いきなり何を言い出すんだ。ほとんど俺がそっち側の人間だって言ってるようなもんじゃないか。
「彼には打ち明けてしまっても問題はないだろう」
「どうして?」
「彼もまた、普通じゃないからネ」
折坂の素性を知っているのか確信に満ちた声。
俺は短く息を吐く。仕方ない、この場においてはしらを切る方が難しそうだ。
しっかりと釘を刺すため俺は強めに言った。
「折坂、俺とも約束してくれ。絶対に他言はするんじゃねぇぞ」
ブレスレットの装飾をスライドし、魔力を解放。左手を氷が覆っていく。
「おおっ、すっげー」
目の前の現象に折坂は少年のように目を見開いている。だけど、驚愕といった感じではない。
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