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「本物の宿り身ってやつじゃないですか!マジでいるんですねこんな生き物」
はしゃいでるとこ申し訳ないんだけどさ。キモい生物見た時の感想だよねそれ。
「あれ?って事は水原の先輩も同じなの?」
「彼女はただの関係者。宿り身については知ってるから心配いらないヨ」
「なぜお前が答える……」
本当の事言うか迷ってたのに。でもその方が話は進みやすいか。
「へぇー変な人ばっかりですね」
人を変人呼ばわりするな。お前も相当変わってるぞ。
真顔で感心していた折坂は思い出したかのように口を開く。
「あ、そうそう。もう1人宿り身って言葉使っちゃった人がいるんだった」
「もう1人?」
「ほらガラクタ置き場で一発でのされた」
思い出す栗色の髪をなびかせたセーラー服。鏡と名乗っていた少女。
「あぁ、あいつなら……」
「呼んだか?」
心配いらないと言い切る前に割って入るハスキーな声。
気が付いた時には俺達の背後に立ち、腕を組んで鋭い視線を送っていた。
「うおっ!?」
「姐さん!」
驚く俺と、嬉しそうに声を上げる折坂。しかも姐さんって、いきなりどうした。
もちろん血も繋がってないだろう鏡は明らかに不機嫌そうに吐き捨てた。
「姐さん?お前にそんな呼び方される筋合いはねぇ」
睨む眼光はより鋭さを増す。そこにははっきりとした拒絶があった。
しかし、折坂も簡単には引き下がらない。
真っ直ぐに鏡と向き合い、背筋を伸ばし直立不動。何なんだこいつは……。
胸に右手を当ててどこか恍惚とした表情を浮かべ、
「目で追えない動き、一発で沈められる正確さ。俺はあなたの強さに惚れ込みました。どうか舎弟にして下さい」
凛々しい表情で台詞を決め深々と頭を下げる。
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