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「なに簡単な話さ。そこにいる折坂草介氏の野望を叶える」
「こいつの野望?」
疑惑の目を渦月と折坂双方に向ける。
「マジすか?姐さんもいると心強いですよ」
まさに百人力と喜ぶ折坂に鏡は取り合わない。
「で、どんな内容なんだよ」
「それは追々説明する。今は時間が惜しいから中に入ろう」
腕時計を見て時刻を確認した渦月は俺に言った。
「もちろん君も来てくれるだろネ?」
帰っていいなら喜んで帰るけど、折坂をこの2人に任せておく訳にもいくまい。
「分かった。でも手短に済ませてくれよ」
「保証は出来かねる。君は学生の身分で今日も休みなんだから別に構わないだろ?」
そこを攻められると弱い。ちっ、足元見やがってからに。
「へいへい。その変わり、分前はしっかりもらうからな」
「それは保証しよう」
信頼を得るに必要なのは約束の実行とその人となり。
前者は心配していない。だけど、後者はまだ未知数。
何故だか俺はフードの奥で詐欺師のようにほくそ笑んでいる絵を思い浮かべていた。
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