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彼女の名前は『水原ハル』。
肩を越す黒髪に、小さくすっきりした顔。一級品の格パーツも適切な位置に収まっている。
一部男子生徒からは可愛いと美人が8対2の黄金比率と評され、その意見には俺も概ね同意している。
掛け値なしの美少女ではあるのだが、時折その目には力が宿る。
眼光の鋭さや目力とはまた別の、一歩も引かない強い意志を俺は何度か見たことがあった。
肩書きはSF研究会部長。俺と同じ2年生だ。
大衆の面前でこの話をすれば怪しげな勧誘として通報からの連行ルートだが、水原は元気よく手を挙げた。
「尋君、質問いいかな?」
「どうぞ、いくらでも」
「こんなに大袈裟な話をなのに、私達が知らないのっておかしくない?宿り身って普段何してるの?」
同じ世界にいるのに今まで知らずに生きて来たとなれば不思議にも思うだろう。
だが、水原は少し立場が特殊だ。
今は亡き彼女の父親、ドクター水原は宿り身の研究員としての顔があった。
生前は水原に宿り身の存在を伏せていたが、遺品となった所有物から水原は宿り身の存在を知るようになったのだ。
視界の端に影は捉えても、実態を見たのはほんの数日前。
探し求めた期間は決して短くはなく、生態に疑問を持つのは自然なことだ。
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