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「あの馬鹿!」
無鉄砲どころの騒ぎじゃない。突撃しか脳が無いの単細胞かあいつは。
ところが俺の心配を折坂は実力でねじ伏せてみせる。
横一閃に振り抜いた警棒は布で覆われた異生物頭部に食らい付き、勢いそのままに3体まとめて倒れ込んだ。
次々と襲い来る魔の手を的確に捌き、状況判断も悪くない。
一対多に慣れている。喧嘩で培われた経験則か。
あれなら任せても大丈夫そうかな。
「折坂!やばくなったら言えよ!」
「了解っす!」
背中を向けて余裕で警棒を振ってみせる。それだけ見たら警備員みたいだ。
さて、俺も片付けに参加しないと。
ブレスレットの装飾をスライドし魔力を解放。冷えた空気が小気味良く音を立てる。
不気味な雄叫びを上げ、1体が跳躍した。
「氷爪!」
左手を払い氷の斬撃を飛ばす。
上空で撃墜すると、地に落ちる事なくその場で霧散した。
「なるほど、式神か」
拍子抜けするほどの手応えの無さ。中核にダメージが通りさえすれば式神は効力を失う。
数ある式神の中でも耐久力はかなり低い。これなら折坂でも対処出来る。
「そうと分かれば!」
魔力を込めながら地面に手をつけ、広範囲に鋭利な氷柱が突き上がる。
「まだまだ!」
方向を変え氷の攻撃範囲をより拡張する。下から貫き、あるいは吹き飛ばされ、苦悶の声を上げては消滅していく。
片付けた空間も次の瞬間には踏み荒らされる。次から次へと無限に式神は控えていた。
「どんだけ湧いて来るんだよ」
戦況を確認に折坂を目を向けると近くで鏡も応戦していた。
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