23人が本棚に入れています
本棚に追加
「おら!ぼさっとすんな!」
「うす!すんません!」
実戦指導みたいになってる。SOSが出ないと思ったら鏡が助太刀してたのか。
折坂は変わらず警棒を握っているが、鏡は素手で殴り倒している。
否、よく目を凝らせば腕周りの魔力が濃い。
厚めに魔力をコーティングし直に触れないようにしているのか。得体も素材も知れないもんなこの式神。
そして体全体から静かに魔力を発している。宿り身の基礎となる活性術で身体能力を向上させている証拠だ。
折坂に一発入れた時から感じてはいたけど、鏡は活性術の技術が高い。
特筆すべきはその速さ。一挙一動が実に機敏で、拳を見舞ってから間を置いて式神が崩れていく。
しかし、さしもの鏡も折坂のカバーを並行して動くのはしんどそうだ。
氷爪を飛ばし援護しながら駆けつける。
「おっと」
視覚外の強襲を身を翻して避け、氷の鉤爪で斜めに切り裂く。
回避先が被り、鏡と背中合わせになった。
「おい、なんとかしろよ」
疲れは見えてないけど、その表情がいい加減飽きたと強く訴え掛ける。
「そう言われても、な!」
氷の鉤爪で襲い来る3体を払う。右の1体には氷の指先を集中しそのまま突き刺した。
「そらっ!」
鏡は気合の掛け声と共に長い右脚を顔面付近に叩き込んだ。なんつーダイナミックな……。
「おいおい、あんまりはしゃぐとパンツ見えるぞ、お嬢さん」
嫁入り前の少女の立ち振る舞いにケチを付けると、
「ちゃんとスパッツ履いてるから安心しなよ、童貞君」
小馬鹿にしたように笑いとんでもない事を言い放った。
最初のコメントを投稿しよう!