深夜潜入作戦

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 「おら!ぼさっとすんな!」  「うす!すんません!」  実戦指導みたいになってる。SOSが出ないと思ったら鏡が助太刀してたのか。  折坂は変わらず警棒を握っているが、鏡は素手で殴り倒している。  否、よく目を凝らせば腕周りの魔力が濃い。  厚めに魔力をコーティングし直に触れないようにしているのか。得体も素材も知れないもんなこの式神。  そして体全体から静かに魔力を発している。宿り身の基礎となる活性術で身体能力を向上させている証拠だ。  折坂に一発入れた時から感じてはいたけど、鏡は活性術の技術が高い。  特筆すべきはその速さ。一挙一動が実に機敏で、拳を見舞ってから間を置いて式神が崩れていく。  しかし、さしもの鏡も折坂のカバーを並行して動くのはしんどそうだ。  氷爪を飛ばし援護しながら駆けつける。  「おっと」  視覚外の強襲を身を翻して避け、氷の鉤爪で斜めに切り裂く。  回避先が被り、鏡と背中合わせになった。  「おい、なんとかしろよ」  疲れは見えてないけど、その表情がいい加減飽きたと強く訴え掛ける。  「そう言われても、な!」  氷の鉤爪で襲い来る3体を払う。右の1体には氷の指先を集中しそのまま突き刺した。  「そらっ!」  鏡は気合の掛け声と共に長い右脚を顔面付近に叩き込んだ。なんつーダイナミックな……。  「おいおい、あんまりはしゃぐとパンツ見えるぞ、お嬢さん」  嫁入り前の少女の立ち振る舞いにケチを付けると、  「ちゃんとスパッツ履いてるから安心しなよ、童貞君」    小馬鹿にしたように笑いとんでもない事を言い放った。
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